食事会45「1時間」
昼食の注文締切時間まで、
食事が終わらなかったのは、
自分だけだったが、
誰も席を立とうとしなかった。
また1番が空気を読まずに、
「即効性の毒は含まれていなかったようだが、
遅行性の毒は含まれている可能性はある。
しばらく全員様子見で、
食堂にいた方が良いだろう。」
と発言した為だった。
7番が誰にともなく話し始める。
「ところで遅行性の毒って、
どの位から効果を発揮するのかな?」
「毒によるんじゃない?
それこそ何日もかけて殺すのもあれば、
15分位で効きはじめるのもあるでしょうし、
取り敢えず1時間位の様子見で良いんじゃない?」
5番が返答する。
「ふむ。
そうすると私の疑いは直に晴れる訳ではないようだな。」
1番が納得したという表情をして、
一人で頷いている。
どこまでも空気を読まない人なんだな。
「それは簡単だと思うわ。
次回の注文の時に同盟の人達と関わらなければ良いのよ。
これは私達、同盟以外全員という事になるのだろうけど。
これであれば、次に毒が入っていても、
とりあえず疑われる事は無いと思うわ。
というか、それ以外に出来る事ないと思う。」
「なるほど至極全うな理屈だ。」
「確かに同盟以外の人にそうして貰うしかないですね。
ですが、毒が入っている場合はやっぱり疑います。
ある程度の予想を立てて、毒を混入するという、
可能性もありますから、疑いを捨てるのは難しいですね。」
5番と1番の会話に8番が入る。
「自分が思うに他に方法も無いと思うので、
取り敢えず試してみませんか?」
ややこしくなる前に止めておく。
「確かに試すしかないですね。
僕自身の命が掛かってるのが恐ろしいですけどね。」
8番の発言の後は、特に誰も何も語る事なく、
1時間が過ぎていった。