食事会05「5つの扉」
しばらく扉を眺めていると、
一つずつしか緑のランプが点灯しない事に気づいた。
扉の奥がどの様な仕組みかわからないが、
一人ずつ選別されるようだ。
つまり、手前の扉が緑でも、選別で待たされる事になる。
相当待たされる事を覚悟して、そこで気付いた。
寝そべっている相手は自分より先に、
このカラクリに気付いたんじゃないだろうか。
彼を見ると、こちらを見つめていた。
悪戯っぽい笑顔で、扉を指差した後、
無理というジェスチャーを送ってきた。
確かにそう思うので、
指を丸めて親指だけ立てるジェスチャーを送ると、
彼も同じジェスチャーを返してきた。
扉がいつ空くか解らないので、
彼と同じく寝そべって待つことにした。
待つこと2時間、ようやく扉が全て緑になり、
待っているのが、彼と自分だけになった。
彼を見ると、お先にどうぞと合図をしてきたので、
先に入る事にした。
扉の中は更衣室のようになっており、
右手にロッカー、左手にかごがあった。
脱いだ衣類を一旦置くためのようだ。
ロッカーは全部で25個あったが、
角と中央は使われていた。
適当に空いてるロッカーを開けると、
中には運営が用意した着替えが入っていた。
着替えた後、私物をロッカーに入れ、
暗証番号を入力した。
ふと入ってきた扉を見ると、
上に赤いランプが点灯していた。
どうやら一方通行になっているらしい。
奥の扉を開けると広間になっており、
5つの扉が並んであった。
後ろを振り向くと全ての扉が赤くなっていた。
どうやらここで選別が行われるらしい、
通りで時間がかかるわけだと納得した。
さて、5つの扉からどれを選ぼうか、
さっきのロッカーを見る限り、
左端、中央、右端と人が入った可能性が高い。
どんな心理テストが待っているのか解らないが、
ライバルは少ない方が良い。
左から2番目と右から2番目、
悩んだ末に右から2番目の扉を選ぶ事にした。