食事会06「部屋割り」
扉の中は一本道の通路になっており、
しばらく直進した後右斜めに曲がった。
突き当たりに扉があり、
その向こうは螺旋階段になっていた。
迷う事無く降りた先にも扉があり、
「食堂でお待ち下さい。」と記載されていた。
「注文の多い料理店」に来ている気がしてきた。
扉を開けると後ろでロックされる音がする。
もう逃げる事は出来ない。
本気で「注文の多い料理店」だったら洒落にならない。
正面には通路があり、
左右には何れかの数字が書かれた扉が並んでいた。
さらに正面の扉には「食堂」と書かれていた。
恐る恐る食堂に入ると、
同じ服装の人が何人か椅子に座っていた。
空いてる席にすわり待っていると最後の一人が入ってきた。
彼も同じ選択をしたらしい。
全員が揃ったところで「カカリ」が奥の扉から3体入室してきた。
カカリの背中はお盆のようになっており、
上に紅茶とサンドイッチが乗っていた。
ルール
皆様 大変 長ラク オ待タセ シマシタ。
カカリ ノ 上 ノ 食事 ヲ オ取リ 下サイ。
サンドイッチ ノ プレート ニ 部屋番号 ガ 記載 サレテオリマス。
食後 ソノ 部屋 デ 下着 ヲ 交換 シテ 下サイ。
ソノ 後 食堂 二 戻ッテ 下サイ。
どうやら「注文の多い料理店」とは違ったらしい。
空腹感に負け、あっという間にサンドイッチを平らげた。
部屋番号は4番だった。
こういう時は4と9は外すものじゃないんだろうか?
また妙な不安が生まれだすが無視して部屋に向かった。
食堂から見て右手が奇数、左手が偶数で若い順番に数字が並んでいた。
部屋につくとデジタルボード以外が全て白で統一されていた。
華やかな白ではなく、病院のような白だった。
薄気味悪く感じたが、ベッドとサイドテーブル、そしてデスクライトとあり、
案外居心地は良いのかも知れない。
下着を探してサイドテーブルの引き出しを開くと、
中には部屋番号の書かれたカードキーと、
飲食店やカラオケ屋で見るような何かの端末が入っていた。
どうやら此処では無いらしい。
さらに部屋を見渡すと、白一色の引き戸があった。
影が無ければ見落とす程わかりづらい。
運営側の嫌がらせかもしれないが、
一度見つければ次からは苦労しない。
と、いうことは時間勝負になっているのかもしれない。
慌てて引き戸を開けた。
中は脱衣所になっており、その奥にはユニットバスとトイレがあった。
脱衣所の下の扉を開き、慌てて下着を替えて食堂に戻った。
幸いな事に自分が一番だったらしく、
食堂の中にはカカリが一体待っているだけだった。