食事会26「共闘」
暗闇の中、食器のなる音が響く。
そんな中、誰かが声を上げた。
「皆さん共闘しませんか?」
「共闘?」
「はい、全員で別メニューを頼んで利益を分配するんです。
そうすれば、全員の生存確率が上がると思うんです。」
賛同の声が多数上がる。
「その前に、まず自分の番号を言わない?
こう暗いと誰が何を話しているのか分からないから、
因みに私は5番ね。」
「それもそうですね。
提案した僕は8番です。」
「じゃ13番だけど反対ね。」
「8番です。何故ですか?」
「13番、恐らく現時点で、
賞金がプラスの者と借金組がある。
プラスの者にとっては、
生存確率を下げる事になるからだよ。」
「7番、13番に賛成」
「5番、7番に同意」
「1番同じく」
「4番自分も反対ですね。
現在プラスだから、
少額だけかけて生き残る。
という事が出来ますが、
共闘すると、それが出来なくなってしまう。
プラス組と借金組は方向性が逆なんですよ。」
「8番です。
身も蓋もない言動ですね。
助けてくれる気は無いんですか?」
「13番、ここまでリスクが高いと無理。
自分一人でさえ生き残るのが精一杯だよ。
だから8番も共闘を思いついたんでしょ?」
「8番です。
確かにその通りです。
ですが、こちらも生死がかかっているんです。
意地の悪い事を言わずに助けてください。」
「5番ね。
助けるって被害者みたいに言ってるけど、
貴方達は既にこの状況に同意してるのだから、
助けるも何も無いわ。」
「8番ですが、こんな状況に同意していません。」
「13番、いや、してるね。
入場前ルールで異常な事態が起こると宣言され、
それに同意した者しか、この部屋にしかいない。
それにも拘わらず安穏とカツ丼という、
カルネアデスの板に捕まり、
沈んだ直後に助けを求める。
それは卑怯っていうんじゃないの?」
場に沈黙が流れる。
「13番、返答が無いようだし、
理解出来たみたいだね。
なら、ヒントをあげよう。
この場で借金組だけで共闘しなよ。
そうすればプラス組は同じ注文はしないと思うよ。」
まさか13番に、ここでハードルを上げられるとは思わなかった。
正直厳しい展開になりそうだ。
沈黙がしばらく続いた。
「8番です。
それが我々借金組にとって、
最善の策のようですね。
借金組だけで共闘しましょう。」
今度は力ない賛同の声が場を支配した。