食事会２９「ファンファーレ」

「１番。全員落ち着け。
事態が解明しただけで、
状況は変化していない。
それよりも別件で解明したい事がある。
全員協力してほしい。」

即座に対応出来たのは、
１３番だけだった。

「１３番だけど、何？」

「１番オッズの疑問だ。
どういう基準で決定されているのか知りたい。
出来れば全員オッズの変動を教えて欲しい。
まず私だが、１,３倍、１,２５倍、
６倍、３倍と、推移している。
私の食事は恐らく複数人と被っている可能性が高い。」

「２番は死んじまってるから、次は俺か３番だ。
カツ丼を頼む前は、±０かマイナスで、
カツ丼を頼んだ時は２倍。
今回の晩飯は１４０万賭けたら、
３４０万になった。
計算は苦手だからオッズはわからん。」

「１番。おおよそ２,４倍だな。」

「４番です。自分は２倍、
次はわかりません、その次は６倍、
そして今は６５０万賭けて１９００万になりました。」

「１番。約３倍か。」

「５番ね。私は何故かずっと６倍だわ。」

「７番、僕も不思議とずっと６倍だね。」

「８番です。オッズは良くわかりません。
覚えていないので。
ただカツ丼を頼んだ時は２倍で、
今回は１２５０万賭けたら－４５００万になりました。」

「１番。－３,６倍か」

「９番です。自分も今回しか覚えていません。
１０万賭けたら５万になりました。」

「１番。０,５倍」

「１１番、私も覚えていないのだけど、
３５０万賭けたら１５００万になったわ。」

「１番。約４,３倍か」

「１３番ね、僕もずっと６倍。
ちなみに１２番は１００万から０になって、
０から５００万、次は恐らく皆の話から２倍、
最後はマイナスって感じ。」

「１番。１２番の言動から予測は着いたが、
細かい情報をありがとう。
残り２，６，１０も恐らくマイナスのオッズだろう。」

全員の話を聞く限り、
オッズは最大で６、
最低は恐らく－６だろう。
カツ丼を、この部屋で食べていた人数に変化がなく、
オッズのみ変化している。

これは２つの可能性を示唆している。
１、連続して同一メニューを注文するとオッズが下がる。
２、他の４つの部屋でも多数カツ丼が注文された。
可能性が高いのは後者の方だ。

１の可能性だけでは、オッズの変動がありすぎる。
この可能性だけであれば規則性が見られなければならないが、
それが一切ない。

また、運営側から見てより判別しやすいのが、
後者の方になり、参加者側からより厄介になる。
運営側の意図を踏まえると、後者で確定で良いだろう。」

１番が語り終えると、再びファンファーレが鳴った。

ルール
１番 正解 ボーナス ト シテ 現在 ノ 賞金 ガ 倍 ニ ナリマス

「カカリ質問なんだけど、あ、１３番ね。
公開されていないルールを先に判明させて、
それを公表するとファンファーレが鳴って、
ボーナスが貰えるの？」

再びファンファーレが鳴る。

ルール
１３番 正解 ボーナス ト シテ 現在 ノ 賞金 ガ 倍 ニ ナリマス

こ、この二人尋常じゃない！
手詰まり感溢れたこの部屋で、
１番は冷静沈着に、
１３番はのほほんと、
着実に賞金を稼いでいる。

この二人のようにはなれないが、
この二人のおかげで、
この部屋の生存確率が確実に上がっている。
何も考えずに、この部屋を選んだが、
この部屋で良かったと心底思える。
正直助かった気分にさえなってしまっている。
気を引き締めていかないといけない。
一歩間違えれば殺されてしまうのだから。