食事会60「私室」
施設の中を改めて回ってみたが、
脱出できそうな場所はなかった。
同盟の人達が言っていた螺旋階段くらいが、
唯一脱出できそうな場所だったが、
あいにくと鍵がかかっていた。
食堂にはエレベーターがあるものの、
入ると殺されてしまうのは、
以前死者を出した事でわかっている。
遊技場には同盟の人達が入っているので、
探索はしなかったが窓も何も無い為、
脱出できる場所はないと思われる。
食堂から見て右手の通路の突き当りの扉は開かず、
左手の通路の突き当りの扉も開かなかった。
また窓は一切存在しなかった。
見事なまでに脱出できる場所を封じていた。
若干落ち込んで私室に戻り、
食事の注文をする事にした。
だが、頭は脱出の事で一杯で注文には中々進めない。
仕方がないので改めて脱出について考えてみることにした。
まず脱出が認められている。
私室のデジタルボードを確認しても、
そう記載されている。
なぜ脱出が認められているのか?
脱出の過程が心理テストに含まれるから。
過程が心理テストに含まれている以上は、
見当もつかないが脱出出来る場所があるのだろう。
もしかすると13番は脱出したのではないか?
もしそうであるなら脱出できる場所は、
私室の外ではなく中にあるのではないだろうか?
もういちど私室を見渡すと、
病室のような雰囲気を醸し出しており、
白一色で統一されていた。
調度品もサイドテーブル以外は、
全て隠されているように配置されており、
いまだに全ての調度品をつかえているかわからない。
バスルームとトイレは分かりやすくなっているものの、
換気口で換気しており、
その幅も小さくとても人が通れそうにない。
かわりに数が三つついていた。
常時動かし続ける事と数の多さで換気しているのだろう。
ここまで調べた時点で夕飯の注文のタイムリミットがやってきた。
一人で食事をするなら注文の時間を無視するのだが、
5番が飲み物を注文する以上そうもいかないだろう。
仕方なく夕飯の注文をする事にした。