食事会02「前日」

[前日]

3月31日 曇り、自分の心を表しているような天候だ。

バイトのシフトが休みの為、

事実上昨日で解雇となった。

今更ながら、

あんな妙な手紙を信じて良かったのかと後悔しているが、

バイトを辞めてしまった以上は仕方が無い。

そんな憂鬱とした気分で外出も出来ずに、

部屋で懊悩としていた。

気分転換になると感じTVを見ようとしたが、

最近の風潮なのか見たい番組がない。

一人でいても虚しいだけなので、流しておくことにした。

ふと2chでスレ立てしようと思ったが、

心理テストに参加出来ない気がして止めた。

これも心理テストの一環なのかもしれない。

何気なく手紙を読み返すと、

再び詐欺かもしれないと疑念が過ぎったが、

それにしてはリスクが少ないし、

自分の名前を調査するのは割りに合わないだろう。

一応信用出来ると思ったが、

それでも一抹の不安は残った。

だが添付のシールを貼り忘れていた事に気づき、

慌てて玄関に貼ることで、不安も忘れ去られた。

しかし、笑い男のシールとは余程のマニアでなければ、

玄関に貼ろうとは思わないだろう。

念の為にアパートの他の部屋を見てみたが、

残念ながら貼っている人はいなかった。

騙されているのが自分だけなのか、

それとも本当に選ばれたのか、

単に笑い男のシールを貼らせたかったのか、

全くと言って良い程日常に変化が無い為、

未だに手紙が真実かわからない。

答えの出ない疑問に鬱陶しさを感じながら、

ただ虚しく一日が過ぎて行った。

状況が変わったのは、丁度0時日付が変わった時だった。